愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
取るものとりあえず、慌てて車へ向かう。
「大学前よ」
『菜穂、待ってろよ』の声を言う前に、麗華は、言うだけ言って通話を終わらせてしまう。
クソ女…
菜穂と話ぐらいさせろよ。
麗華への悪態は、車のハンドルを叩くだけの八つ当たりとどめ、すぐさま、エンジンをかけて向かった。
いるはずの正門前にいるはずの人物らがいない。
クソ
どこに連れて行った?
辺りを見まわしながら、電話をかけだした。
正門前にあるカフェの窓から、にこやかに手を振る人物に、苛立ちが募る。
菜穂を視界にとらえ、急ぎカフェの中へ。
「菜穂、話しよう」
「ストップ」
菜穂の手を繋ごうと手を伸ばす前に、麗華が手を伸ばしきて止めた。
「なんだよ」
「お会計お願い」
邪魔するな…麗華を睨むが、にこやかに伝票を差しだしてくる。
「菜穂の分はともかく、お前の分もかよ」
「なに、嫌なの?助けてあげたのに⁈」
兄貴に甘やかされた女王様気質が、俺にも通用すると思っているのか?
睨み合うが、今回は俺の負けだ。
今回、麗華のアシストがなければ、彼女に会う機会はまだ後になっていたと思えば、安いものだと考え直した。
「…払えばいいんだろ」