愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
「仲直りしてね」
「ケンカなんてしてない」
にこりと笑われ、余計な一言にムカツクだけだ。
麗華が去り、菜穂と2人。
先に口を開いたのは、俺だった。
「午後の予定は?」
「…急ぎじゃないから、大丈夫」
少し、考える素振りの菜穂だったが、俺の方を優先してくれたようだ。
「移動するぞ」
俺の新しい住まいを目指して、車を走らせる。その間、菜穂と繋いだ手を離さなかった。
車を駐車し、階下にあるエレベーターで最上階の3階へ。
1番奥の扉を開け、菜穂の肩を押しながら部屋を進む。
山積みされたダンボールを前にして、辺りを見まわしキョロキョロしている菜穂は可愛い。
俺は、菜穂の手を引いて、お気に入りの【KZ】の最高級のソファに腰を下ろす。
それから、彼女を招くように広げた足を叩き『ここに座れ』と、促した。
恐る恐る太ももの上に腰を下ろす菜穂を、ぎゅーと抱きしめると、彼女も俺を抱きしめ返してくれた。
「悪かった。ごめん…不安にさせたか?」
「…うん、不安だった。私もごめんなさい」
「泣くなよ」
彼女の頬をつたう涙に、心が痛む。
俺なら泣かせないと豪語していた分際で、泣かせているのだ。
「泣くほど好きだもん」