愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
店長の鷹宮さんには呆れた表情で「皆に示しがつかないぞ」と小言を言われているが、蓮のスルースキルは鉄壁のようだ。
「菜穂、後で俺の部屋に来るよな⁈」
「えっ、行かないよ」
「はぁ?俺との約束忘れたのか?」
「えー、何か約束した?」
「去年、俺のお願い聞くって約束だよ」
そんな去年の約束なんて記憶に残っていない。
「そうだった?」
「ハァー、もういい。俺との約束なんて守る気なかったんだよな」
拗ねて、投げやりになってそっぽを向いてしまった蓮に、「わかったから、行くから」と、つい、言ってしまった。
その時の蓮の表情を見たのは、隣にいた店長だけ。
あーぁと言うように私を見ていた。
皆が温泉を満喫している時間、私は、蓮が予約した離れ部屋で、なぜか記憶にある浴衣を着せられている。
「これ…見覚えがあるんだけど」
「去年着ていた浴衣だな。似合ってたから、買い取った」
これだから、金持ちは…と呆れるが、今の現状を思い出す。
「どうして?」
「どうしてだと思う?」
悩ましい手つきで浴衣の襟を指でなぞっている。
「俺のお願い聞くだろ?」
「聞くけど…嫌な予感しかしない」
「正解。浴衣を着た菜穂とやりたい」