愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
蓮の後を追い、追い抜かす。
『おい、待てよ』
『なに?』
『送くってやろうと思ったけど、必要ないようだな』
車のキーを見せるように揺らされて、反応していた。
『あー、蓮、お願い。お願いします、蓮さま』
呼び捨てなんて図々しかっただろうかと、慌てて両手を合わせて、片目を閉じながら蓮を見あげたら、笑いを我慢して口元を隠す蓮が見えた。
『呼び捨てかよ…ふっふふ』
『ダメ?』
『ダメじゃない』
なぜか蓮の表情が甘く和らいでいる。
蓮を嫌な奴だと思っていたけど、なぜか、この時不覚にも胸がキュンとしてしまった。
『さぁ、行こうぜ』
先を先導する蓮だが、私は、ふと気がついた。
『私達が車で帰ったら、麗華達、どうやって帰るの?」
『ホテルに泊まるんじゃないか』
『それなら待ってた方がいいんじゃない?』
『こんなへんぴな所で偶然会うなんてありえないぞ。兄貴はそのつもりだったんだからいいんだよ。それこそ待ってて邪魔なんてしたら、お前、夏休み中、麗華と会えなくなるぞ』
それは困る。
『帰ろう』
『素直でよろしい』
家までのドライブ中、会話はないが蓮はご機嫌で、ハンドルを握る指は音楽に合わせてリズムをとっている。