愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
『まぁな、気ままな学生に見えるだろうが、これでも一応、俺は働いてるんだぞ』
胸ポケットから名刺を一枚出し、胸に刺していた万年筆でプライベートの電話番号を書いて見せた。
『俺のプライベートの番号、特別だから無くすなよ』
受け取れと彼女の前に差し出したら、頬を引き攣らせながら受け取ってくれる。
この時、連絡先を交換できたと思い、気分がよくなっていた。
『遼からきた写メ見せてやるよ』
徐々に彼女の表情が曇っていき、終いには不貞腐れたように声を発した。
『連絡もらえていいですね』
『こっちはいらないんだけどな。お前にはないの?』
『一つもありません』
『へー、そんなもんか』
彼女を思い出すこともなく、楽しんでいるようだ。
俺なら、そんな寂しい顔をさせないのに。
『まぁ、元気だせ』
彼女と仲良くできると思ってとった行動が、彼女を傷つけてしまったようだ。
だが、俺は遼のクズっぷりに笑みが溢れる。
そうか…
写メの一つも送ってやれないほど、大事にできないなら…俺がもらっても構わないよな。
疑問だった問題が、今、ストンと腑に落ちた。あー俺は、ずっと彼女が欲しかったのだと、やっと気がついた。