愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
気がついてしまうと、頭の中は、どうやって彼女を振り向かせようかと策略でいっぱいになり、きっと、俺は悪い表情をしていたはず。
そんな俺を麗華と兄貴が、ほくそ笑んで見ていて気まずくなる。
どうやら、麗華と兄貴はとっくに俺の気持ちに気がついていたようで、気がついていないのは当事者だけという間抜けな話。2人の視線に居た堪れなく逃走。
『帰るわ』
彼女に感じた感情が恋からだったなんて。鈍い自分を恨めしく思いながら、出口へ向かった。
歩いていると、追い抜いていく彼女。
俺に見向きもしない。
恋に気づいたばかりの俺は、彼女を引き止めた。
『おい、待てよ』
『なに?』
怒りながら振り返るが、可愛いしか思えない。
怒っているその憎らしい唇に触れたい。蕩けるまで甘やかしたら、怒り顔がどう変化するのだろう?
好きだと自覚すると邪な考えが脳裏を巡り、半身に血が滾りだす。
このまま壁に押しつけて、無理矢理にでもその唇に触れたいなどと、俺が思っているなんて思ってもいないだろう。
『送くってやろうと思ったけど、必要ないようだな』
車のキーを見せると、現実が見えたのだろう。
こんな辺鄙な郊外に今すぐ使える交通手段など、そうそうあるはずがないことに。