愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
『土産は、車の中だ。送ってやるから乗ってけ』
『うん、ありがとう』
拒否られなかったことが嬉しく、お酒の勢いもあり、彼女の手を繋いだ。
繋がれたままついてくる彼女に、少しは思いが通じた気がしていた。
待機していた運転手は、何も言わずとも車をゆっくりと走らせていく。
『ほら、土産だ』
中央にある肘掛けを開け、中から土産を出して渡した。
『ありがとう』
嬉しそうに、紙袋の中をのぞく彼女。
『えっ、2つも。遼と使うね』
なぜ、そうなる?
『これは頼まれたグラス。こっちはお前が好きそうだから買った』
『うん、好き。どうして知ってるの?』
好き、という言葉に敏感に反応するのは、やはり、恋に浮かれているからだろうか?
『麗華からきいた』
『そうなんだ』
『なぁ、もう一度…いや、なんでもない』
好きとだけ言ってほしいと願ったが、心のうちに留めることにした。
彼女の家まで送り、次の約束を取り付ける。
『また、ご飯に付き合ってくれ』
『うん、今度は、私がだすね』
『そんなことさせるかよ。また、連絡する』
頭を撫でていく。
頷く姿が可愛くて、無性に抱きしめたい衝動に駆られるが、ポケットに手を突っ込んで我慢した。
今は、まだその時じゃない。