愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
また、あの時のように暴れられたら、折角縮まった2人の距離が元に戻ってしまうという恐れからだった。

恋をすると臆病になるらしい。

『そのネックレス、つけてるんだな』

『あっ、うん。お気に入りなの』

その一言だけで、今日は、もう満足だ。

『そうか…おやすみ』

『おやすみなさい』

彼女との食事の約束が叶わないまま、時間は忙しさで過ぎていく。

新店舗オープンに向けての責任者として、目も回る忙しさだ。

そこへ、電話が鳴り、彼女からだと知ると、打ち合わせ中の相手を待たせて『どうした?』と電話に出た。

『えっと…』

『うん?』

『私、菜穂だけど』

『わかってる。どうしたんだ?』

『あのね、バイトでもいいから、卒業後【KZ】で働きたいんだけど、求人あるかな?』

今は、まだ来年のバイト求人など考えてもいない。

『それは、無理だな』

『…そうだよね』

電話の向こうの声が萎んでいく。

『今、夏に出店する新店舗のスタッフの求人を出している。そこでよければバイトにきてほしいんだけど、ダメか?評価が良ければ、その後は正社員で採用になる』

『えっ、ほんと。ぜひぜひ、働かせてください』
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