愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
『気に入ったよ。ありがとう』
窓ガラスを鏡がわりにしてネクタイを結び、振り返って『似合うか?』と尋ねる。
『似合うよ。だけど』
『なんだよ』
『ネクタイ斜めってるよ』
わざとだよ…拗ねたようにネクタイを解いた。
『まだ慣れてなくて一回でうまく結べないんだよ。笑うなら、結び方知ってるんだろな?』
『仕方ないな…貸して』
近い距離で、真剣にネクタイを結んでいく菜穂の表情を見つめていく。
あぁ、今抱きしめてキスしたら、怒るのだろうか?
時間がかかるだろうと思っていたが、案外簡単に結んでいく菜穂。
『誰かに結んでやってたのか?』
『転校前の高校がネクタイで、毎日ネクタイを結んでいたから、慣れてる』
『へーそうか』
背を向けて、遼から奪った時計の文字盤を確認。
そろそろ、打ち合わせの時間だと本題に入っていく。
『遼に祝ってもらわなくてよかったのか?』
『うーん。連絡ないから忘れてると思う』
『彼氏なら誕生日だって言えばよかっただろ?』
『彼氏ならね?もう、わかんない。私、遼の彼女なのかな?』
『バカ女』
隣に座り、彼女の頭の上を手のひらで掴んで揺さぶった。
やっと、気がついたか。
『そうだね、言えばよかった』