愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
信じたいのに信じきれないのだ。

自分でも面倒だと思う。

「やめて」

「やめない」

首元に唇が甘く這っていく。

その度に、小さく息を吐いて、灯る火をやり過ごそうと頑張った。

だが…

「キスしたい」

甘い声でねだられると、抗えないところまできていた。

触れそうで触れない距離で見つめてくる男。

「菜穂、キスして」

キスだけならと等々、誘惑に負けた。

そっと、唇に触れる。

だが、考えが甘かったようだ。

触れた瞬間、待ってたかのように、唇を奪われるような荒々しいキス。

蓮にこんな激しい一面があったのかと考えたのは一瞬で、狭い車内で蓮の背を抱きしめ、キスに夢中になって応えている自分がいた。

やがて、蕩けるような甘いキスに変わり、お互いの唇を喰んだり、頬など顔中にキスが堕とされる。

私の腫れてるだろう唇を指でなぞり、艶めかしい瞳で見つめるてくる蓮。

きっと、欲情と闘っているのだろう。
それは、私も同じ。

だからといって、欲望のまま肌を重ねるまでにいかないのは、蓮が、私の気持ちを待っていてくれるからだろう。

「早く、俺を好きになれ」

頭を撫でた後、車のロックを解除して解放してくれる。

運転席に回ると、窓が下がり蓮が顔をだす。
< 88 / 146 >

この作品をシェア

pagetop