愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

「おやすみなさい」

いつもなら、車から降りてきてくれるのに今日は違うようだ。

その代わりに、指先で来いと促してくる。

なんだろうと、腰を屈め近寄ったら、後頭部を掴まれ蓮に引き寄せられる。

チュッと触れる唇同士。

「おやすみ」

ニヤリと笑った蓮は、手を振り車を走らせていった。

残された私は、触れた唇を指でなぞった。

こんな甘酸っぱいキスなんて、初めてだった。

その後、出張や会合など重なった蓮とは会う機会はなかったが、連絡は頻繁にある。

キスをしてから、メールの内容は変わっていた。

(菜穂不足で死にそうだ。キスしたい、抱きしめたい)

(Imiss you xoxo あなたが恋しい)

恥ずかしいセリフは、こうして誤魔化して送ってくる。

そして、最後にはキスを飛ばす可愛いスタンプが日常になっていた。

長い夏休みが終わる頃、一泊二日で[KZ]の慰安旅行があり、お店は休みとなった。各店舗で行く先々は違うらしく、うちの店舗は、近くの温泉地へ宿泊。

バイトも含めて総勢、20人ほどのところへ、久しぶりに見る副社長の蓮もなぜか加わっている。

そんなことなど聞いていない私、店長以外のスタッフは驚きと緊張が走る。
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