愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

最近は、経営者側としての、きっちりとしたスーツ姿に見慣れていたせいか、今日のラフな服装は、学生時代の蓮を思い出させる。

年相応に見えて、同年代の女性スタッフは、色めき立っている。

「副社長、かっこいい」

「近くに行こうよ」

などなどと、きゃーきゃー騒いでいてうるさい。

蓮も、まんざらでもないようで、笑顔を振りまいている。

そんな姿にムカムカしてくるのは、なぜなのか⁈

ふんと鼻を鳴らし、1人でバスに乗り込んだ。

既に数人の男性スタッフと既婚者のパートスタッフは仲のいいグループで席を確保していて、どこに座ろうか悩んでいると、最近、仲良くしてくれる清水 桃花さんを見つけた。

彼女は、副社長に興味はないようだ。

「桃花さん、隣りいいですか?」

「もちろん、いいわよ」

座席に置いていた荷物を動かして、どうぞと微笑む桃花さん。

インテリアコーディネーターである彼女は、接客が苦手らしく、できることなら、裏方でいたい人だ。

だが、そういうわけにはいかないのが、世の常で、店長も桃花さんには期待しているようで厳しい面を何度か見かけた。

その店長が、すぐ後ろの最後尾の席にいるのだ。

桃花さんも心穏やかじゃなかったのではないかと思いつつ、席についた。
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