愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
副社長を取り囲む最後の集団が、バスに乗ってきた。
どうせ、彼女らと一緒に前の方に行くのだろうと不貞腐れていたが、蓮は、1人離れて奥へ進んでくる。
そして、私の横を通り過ぎて最後尾へ。窓際にいる店長と席を入れ替わって奥に座ったようだ。
最近の蓮からのメールや電話は、愛情表現が激しく私の心を乱しているせいで、背後にいると思うと、ドキドキしてくる。
スマホに通知が届く。
(会いたかった)
これは…なんて返すべきなのだろう?
なかなか返せずにいると
(薄情女、寂しかったのは俺だけか?)
あぁ…もうダメだ。
(わたしも)
そう返すだけで精一杯だった。
すると、背後で動く気配の後、肩を叩く店長が横から顔を出してきた。
「相澤さん、悪いけど、席を変わってくれないか?」
隣りの桃花さんに緊張が走っているのがわかる。
「どうしてですか?」
「…清水と少し打ち合わせがある」
そう言われては仕方ないと桃花さんは苦笑し、私は、渋々、席を交代した。
後部座席では、蓮は窓の外を眺めたままで、こちらを見ようともしない。
数分前のメールはなんだったのかと悲しくなり、ぎゅっとスマホを握った。
その時、横から手を繋いで、指を絡めてくる蓮に驚かされる。