愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
シーと声をひそめ、素知らぬ表情で窓を眺めているのだ。
憎らしいその横顔に、会いたかった。
私だけに向ける意地悪な表情。
口の端をあげて微笑む笑顔。
キスを乞う掠れた声。
繋ぐことに慣れてしまった手の温もり。
会えなくて、寂しかった…
これはもう、蓮に恋してると認めるしかない。
私達は、会話のないまま目的地に着くまで手を繋いでいた。
海辺にある温泉旅館
旅館から見える青い絶景に、皆、歓喜の声をあげた。
海水浴シーズンには少し遅いが、まだまだ暑い日は続いている。海に入れなくても大きな温水プールもあり、海辺が見える露天風呂もある。浜辺に出ることも可能なので、浜辺を散策したり、ビーチボールをするぐらいはできそうだからだろう。
この旅館では、自分で浴衣を選べるところ。たくさんの柄の中から自分好みを探し、中居さんの案内で、各自部屋へ移動する。
「桃花さん、水着持ってきました?」
「うーん。一応はね。菜穂ちゃんは?」
「もちろんです。着替えて下へ行きましょ」
着替え終わると、うわーと、桃花さんは、口を開いていた。
「私が彼氏だったら、絶対に他には見せたくないくらい、可愛い」
「そうですか?ありがとうございます。でも、私は、桃花さんの方が似合ってて羨ましいです」