ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「そりゃあもちろん、涼羽についてだ。真面目ないい子だとか、責任感が強くてしっかりと物事を考えるお子さんだとか、いろいろ褒めてもらったな」

私が知らない間にそんな会話を。褒められていたと聞いて、社交辞令とは知りつつもなんだかこそばゆい。

「それから、娘さんは絶対に不幸にはしません、と」

「不幸にはしない……? 幸せにします、じゃなくて?」

「ああ、そうだ。不幸にはしない――いかにも責任感の強い人間が使いそうな言い回しだと思わないか?」

喜びをにじませる父を見て、ようやく言わんとしていることがわかった。

私を悲しませない、後悔させない、辛い思いをさせない。

〝少なくとも私を不幸にするような選択だけはしない〟――『幸せにします』という傲慢な理想論より、ずっと現実的な覚悟が込められている。

……確かに康惺さんらしい。

思わずくすりと笑みがこぼれた。

そうやって現実的に考えて、私のことを一番大事にできると思った手段が『偽装結婚』や『別居』だったとするならば。

彼の不躾な提案や企みも、優しさなんだと思える。

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