ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
……この家だけじゃなくて、ほかにも家があるの?

なんのために――湧き上がってきた疑問に、ごくりと息を呑み込む。

「俺がこんなことを言うのもおかしな話ですが……兄さんを許してやってもらえませんか? ずっとひとりで気ままに暮らしていた人ですから。慣れないことをして、息抜きが必要なのかもしれません」

「それは……もちろん」

文句を言うつもりなどない。でも、少しだけ寂しさが湧き上がってくる。

……私が一緒にいたら、落ち着けない?

ルーフバルコニーで煙草を吸う、ちょっと寒そうな彼のうしろ姿が頭をよぎる。本当はひとりで気ままに暮らしていたいのだろうか。

「ああでも、誤解しないでください。浮気をしているとか女性を連れ込んでいるとか、そういうんじゃないとは思いますので」

そう言われるとそうじゃないかって疑いを持ってしまう。

惺也さん、墓穴を掘ってる自覚はないんだろうなあ……。私は「あはは」と愛想笑いを浮かべる。

「それに、最近は以前ほど悪い噂を聞かなくなりましたし」

エレベーターを降りながらぽつりと呟く惺也さん。その言い回しには含みがあって、私はうっと笑顔が引きつった。

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