ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「電話なんかじゃなく、自分で行ってきなさい」

朗らかな、だが確かな貫禄を持った声に背中を押される。

「食事も飽きてきたところだ。そろそろ贔屓の店に顔を出しに行くとするか。君は、クラブは付き合えないんだろう? だったら私の邪魔をする前にさっさと帰りなさい」

俺が立場上、自分から席を外せないことを承知の上で、山崎さんはあえて追い払うような言葉を選んでくれた。

「恩に着ます」

一礼して部屋をあとにする。運転手を呼ぶ時間も惜しんで、通りかかったタクシーに飛び乗った。




「まさか兄さんがここまで悪趣味だとは思わなかったよ」

惺也からそう言われたのは、急いで帰宅したあと、リビングを出てふたりきりになった直後だった。

惺也の一歩うしろを歩きながら「どういう意味だ」と冷静に尋ねる。

「涼羽さんのことだよ。彼女がこんな生活を望んでいると本気で思っているの? 十六も年下の女性を囲って楽しい?」

この生活は涼羽も望んでいる。他人にどうこう言われる筋合いはない。

……だが、自分よりも一回り以上も年下の女性を求めてしまった、そんな罪の意識に見ない振りはできない。

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