ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「そこまでは言いませんけど。ちょっと減らしてくれたらなあとは思います」

渋い顔の彼。今度は私がイエスと言うしかない質問をしてしまったと気づき、ちょっとだけ申し訳なくなる。

でも、それにはひとつ、理由があって。

「赤ちゃんにもよくない気がするし」

「は?」

今度の『は?』は、驚きだった。彼は一瞬固まったあと、ごくりと息を呑み込む。

「妊娠、したのか?」

落ちそうになる灰を慌てて携帯灰皿で受け止めながら、手もとと私を交互に見る。

なかなか見られない彼の動揺した姿に、私はくすりと笑みをこぼして頷いた。

「はい。クリニックに行ってきました。もうすぐ八週目だそうです」

よほど衝撃だったのか、あんぐりと口を開けた彼。

次の瞬間、まだ充分吸える長さの煙草を携帯灰皿の中に押し込んだ。

「いや、そんな急いで消さなくても。いきなり禁煙はつらいと思いますし、ほどほどで」

「手持ち無沙汰だから吸ってるって程度で、やめようと思えばいつでもやめられる。だいたい、涼羽とお腹の子どもの方が煙草よりずっと大事だろ」

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