ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
フロアの一番奥に中庭に通じるドアがあった。康惺さんが私の手を引き、石畳の上をエスコートしてくれる。

中庭の中央に行くと、このレストランに入るときにも見えたチャペルを模したセレモニースペースがあった。

奥にはガゼボ。日本でいうところのあずま屋のような建物で、ドーム状の屋根を六本の白い円柱が支えている。

そこに向かって石畳のバージンロードがまっすぐに伸びていて、両側には参列者用のチェアが並んでいる。

康惺さんがバージンロードを歩き、私をガゼボに連れていってくれる。ちょうど薔薇が見頃を迎えていて、厳かな空間の周りを囲むように美しく咲き誇っていた。

「こんな場所を歩く日が来るとは思わなかった」

彼が自嘲するように言う。

「私もです。二十歳くらいのときは、結婚するのはあと十年先だろうなって思ってたので」

随分予定外だったが、結果的には最高の夫を見つけることができた。そして、子どもも授かった。

私にとって最善の選択を繰り返した結果が今なのだと思う。

「康惺さんと出会ったあの日は、人生最悪の日だって思ってましたけど」

< 255 / 257 >

この作品をシェア

pagetop