ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
第一章 挿げ替えられた婚約者
桜の季節が終わり木々に若葉が芽吹き始めた頃。
父とともに訪れたのは、都心の一等地に建つ歴史ある日本家屋。舘華家の邸宅だ。
父の運転で高い塀に沿ってぐるりと車を走らせると、歩道からやや奥まった場所に荘厳な門扉が現れた。
その前には見知った顔の男性が、ネイビーのスマートなスーツに身を包んで立っている。
彼は舘華惺也、三十歳。私の婚約者で、シルバーフレームの眼鏡がよく似合う知的で誠実な印象の男性だ。
彼に案内され、門を入ってすぐ脇の車寄せに駐車する。
車外に出ると惺也さんは、父に向かって深々と頭を下げた。
「ご多忙のところ、突然お呼び立てして申し訳ありません」
家柄的に格上なのはそちらなのに、腰の低い人である。そんな惺也さんに最大限の敬意を込めて、父も頭を下げた。
「とんでもない。ご挨拶する機会をいただけて光栄です」
父の横に並び、私も倣う。
惺也さんは端整な顔をふんわりと緩めて「涼羽さんも。よく来てくださいました」と微笑んだ。
自分といずれ結婚するであろう彼の気遣いが嬉しいと同時にむずがゆくて、照れをごまかすように返事をする。
「またお会いできて嬉しいです」
紛れもない本心だった。
父とともに訪れたのは、都心の一等地に建つ歴史ある日本家屋。舘華家の邸宅だ。
父の運転で高い塀に沿ってぐるりと車を走らせると、歩道からやや奥まった場所に荘厳な門扉が現れた。
その前には見知った顔の男性が、ネイビーのスマートなスーツに身を包んで立っている。
彼は舘華惺也、三十歳。私の婚約者で、シルバーフレームの眼鏡がよく似合う知的で誠実な印象の男性だ。
彼に案内され、門を入ってすぐ脇の車寄せに駐車する。
車外に出ると惺也さんは、父に向かって深々と頭を下げた。
「ご多忙のところ、突然お呼び立てして申し訳ありません」
家柄的に格上なのはそちらなのに、腰の低い人である。そんな惺也さんに最大限の敬意を込めて、父も頭を下げた。
「とんでもない。ご挨拶する機会をいただけて光栄です」
父の横に並び、私も倣う。
惺也さんは端整な顔をふんわりと緩めて「涼羽さんも。よく来てくださいました」と微笑んだ。
自分といずれ結婚するであろう彼の気遣いが嬉しいと同時にむずがゆくて、照れをごまかすように返事をする。
「またお会いできて嬉しいです」
紛れもない本心だった。