ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
結婚が面倒くさいとか好みの女じゃないからとか、そういう自分の望み以上に、私が『かわいそうな女の子』だから偽装結婚を提案したんだ。

私に自由になれる道を作ってくれた。優しさというより恩情だろう。

だが、その気遣いは見当違いだ。

私は自分の意思で嫁いだ。私にできる最善を果たさなければと覚悟を決めている。

「私は家名に誇りを持っています」

この結婚は、小さい頃から何不自由なく、充分に手をかけて育てられた私の責務だ。

「子どもを産んだら縛られる。二度と自由を手にできなくなるぞ」

真剣に忠告してくれているのがわかる。これも情けの類だろう。だが――。

「役目を果たしてこそ自由でいられる、そういう考え方もあるでしょう?」

真っ向から反論すると、彼は驚いたように目を大きく見開き、興味をそそられた様子でこちらを見た。

「あんたはそういう考え方をするタイプなんだな」

その言葉がよほど意外だったのか、あるいは気に入ったのか、どこか嬉しそうに口の端を跳ね上げる。

「覚悟は決まってる、ってことか」

ひとりごとのように漏らすと、背もたれに手をかけ、こちらに体を倒してきた。
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