ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
懐から取り出したライターは、高級そうなガスライターだ。鼈甲のようにまろやかな茶色のボディに金の縁取り。きっと海外の有名ブランド製だろう。

「そのライターもこだわりですか?」

尋ねてみると、彼は煙草をくわえたまま「これか?」とくぐもった声で答えた。

「随分前に弟からもらった」

「惺也さんから? プレゼントですか?」

「ああ。初任給の記念だとかなんとか」

「仲がいいんですね」

プレゼントを贈り合うのだから関係は良好なのだろう。

しかし、彼はライターに視線を落としながら「どうだろうな」とどこか寂しげな表情を覗かせた。

「マメなヤツだからな。形式上のものだろ」

妙に控えめな言い方だ。照れているのだろうか。それとも、本当にそう思っている?

「人の厚意を素直に受け取らない方は損しますよ」

「あんた、若いくせに小うるさいな」

「失礼ですね」

「褒めたんだよ」

「いや、どこが褒め言葉なんですか」

「意外だったんだ。親父や惺也が気に入っているようだったから。きっと自己主張が少なくてさぞ扱いやすい、お淑やかなお嬢さんなんだろうと思ってたんだが」

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