ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
そう言って煙草に火をつけ、吸い込んだ煙を大きく吐き出す。
揺蕩う紫煙を見つめながら、舘華家での一件を思い出す。
『涼羽さんは僕の婚約者です』――惺也さんのあの言葉を聞いて、私が気に入られていると思ったのだろう。
ご当主だってなんだかんだ言いながらも私を長男の嫁に推したくらいだから、嫌ってはいなかったはずだ。
確かにあのときの私は、なんの文句も言わない大人しいお嬢さんだった。気に入られなければという思いがあったから、従順に振る舞っていた。
康惺さんの、意図の読めない眼差しがこちらに向く。
「……惺也と結婚できなくて残念だったな」
不意に放たれた言葉に、私は「え?」と動揺を混じらせながらも聞き返した。
「あいつはまあ、器用ではないが、努力ができる人間だ。俺みたいに煙草も吸わないしな」
まるで結婚するなら彼の方が正解だったとでも言いたげで、ムッと眉をひそめる。
「私の夫はあなたです」
どことなく責任から逃げたそうにしている彼に念を押す。
彼が「ははっ」と声をあげて吹き出した。
「あんた、逞しいな」
今度こそ褒めたつもりだろうか。
全然嬉しくはないけれど、くつくつと喉の奥を鳴らして肩を震わせる彼は、珍しくマシな表情をしていた。
揺蕩う紫煙を見つめながら、舘華家での一件を思い出す。
『涼羽さんは僕の婚約者です』――惺也さんのあの言葉を聞いて、私が気に入られていると思ったのだろう。
ご当主だってなんだかんだ言いながらも私を長男の嫁に推したくらいだから、嫌ってはいなかったはずだ。
確かにあのときの私は、なんの文句も言わない大人しいお嬢さんだった。気に入られなければという思いがあったから、従順に振る舞っていた。
康惺さんの、意図の読めない眼差しがこちらに向く。
「……惺也と結婚できなくて残念だったな」
不意に放たれた言葉に、私は「え?」と動揺を混じらせながらも聞き返した。
「あいつはまあ、器用ではないが、努力ができる人間だ。俺みたいに煙草も吸わないしな」
まるで結婚するなら彼の方が正解だったとでも言いたげで、ムッと眉をひそめる。
「私の夫はあなたです」
どことなく責任から逃げたそうにしている彼に念を押す。
彼が「ははっ」と声をあげて吹き出した。
「あんた、逞しいな」
今度こそ褒めたつもりだろうか。
全然嬉しくはないけれど、くつくつと喉の奥を鳴らして肩を震わせる彼は、珍しくマシな表情をしていた。