ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「康惺さんの方からなんて、珍しいですね」
「そろそろおねだりされる頃かと思ったんだが、違ったか?」
確かにその通りなのだが。思わず「……人の生理周期を読むのはやめてください」と眉間に皺を寄せた。
「涼羽」
不意に名前を口にされ、心臓が跳ね上がる。いつも『あんた』で済ますのに、突然どうしたのだろうか。
余裕めいた笑みの中に、どことなく真剣さが感じられる。
「言っておくが、蛯原とはなんの関係もなかった。今も、過去もだ」
「……なにも聞いてませんよ?」
「言いたくなったんだ」
眼差しをふわりと緩めて、頭の上に置いていた手を引っ込める。さりげない気遣いに、なにも言えなくなってしまう。
結局彼は喫煙所には寄らず、私を連れて社長室に直行した。
しばらくすると気まずい顔をした蛯原さんが戻ってきたが、康惺さんはなんの反応も示さず、父との打ち合わせを粛々と進めた。
その日の夜。私は彼の言いつけ通り、ペントハウスに向かった。
私のセキュリティカードで彼の居住階に行けるよう手続きしてくれたらしく、行き来がスムーズになった。
「そろそろおねだりされる頃かと思ったんだが、違ったか?」
確かにその通りなのだが。思わず「……人の生理周期を読むのはやめてください」と眉間に皺を寄せた。
「涼羽」
不意に名前を口にされ、心臓が跳ね上がる。いつも『あんた』で済ますのに、突然どうしたのだろうか。
余裕めいた笑みの中に、どことなく真剣さが感じられる。
「言っておくが、蛯原とはなんの関係もなかった。今も、過去もだ」
「……なにも聞いてませんよ?」
「言いたくなったんだ」
眼差しをふわりと緩めて、頭の上に置いていた手を引っ込める。さりげない気遣いに、なにも言えなくなってしまう。
結局彼は喫煙所には寄らず、私を連れて社長室に直行した。
しばらくすると気まずい顔をした蛯原さんが戻ってきたが、康惺さんはなんの反応も示さず、父との打ち合わせを粛々と進めた。
その日の夜。私は彼の言いつけ通り、ペントハウスに向かった。
私のセキュリティカードで彼の居住階に行けるよう手続きしてくれたらしく、行き来がスムーズになった。