ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
第五章 俺の所有権を主張しろ
『ここに住むか?』と切り出されて一カ月、今年入って二度目の引っ越しを終えた。

ペントハウスに移住してきた私は、彼とほどほどの距離を保ちながら生活している。

彼の起床は出社時間ぎりぎり。コーヒーだけ飲んで家を出ていく。

お気に入りはびっくりするほど薄いアメリカンだ。

「おはようございます。コーヒー、セットしときましたから。ご自分で薄めてください」

シャツとスラックスに着替えた彼が、まだ寝ぐせだらけの頭で大あくびをしながらキッチンに入っていく。

「サンキュ、助かる」

そう言って保温プレートの上にのっているコーヒーサーバーを傾けマグに移すと、容赦なくポットのお湯を注ぎ足す。

ひと口飲んで「はあ。ちょうどいい」と無心の表情をした。

……本当においしいと思ってるのかな……?

試しに私も飲ませてもらったが、思わず「薄っ!」とツッコミを入れてしまった。

いい豆を使っているだろうに台無しだ。そもそもこの豆、アメリカン用じゃないんじゃないかな……。

彼が好んで使う豆は、最高級のイタリアンローストブレンド。酸味ゼロの極深煎りで、苦みとコクがとにかく強い。

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