ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
夕飯はお互い適当に食べる。

帰宅は何時だとか、夕食は家で食べるとか、そういうことをいちいち報告し合うほど仲睦まじくないし、なによりそこまで深入りするようになったら彼が帰ってこなくなる気がした。

……康惺さん的には、このゆるーい感じがいいのよね、きっと。

女性からの束縛が嫌いそうなのは、見ていればわかる。

気楽、気ままを好んで、煙草の煙のようにふわふわと空を漂って風に乗り、気がつくとどこかへ消えている――そんなイメージがある。

そういう彼を跡継ぎとして縛り付けるのは、適性に合っていないというか……ちょっとかわいそうでもある。

この日、お風呂からあがってリビングに行くと、いつの間にか康惺さんが帰ってきていて、キッチンでフライパンを振るっていた。

時計を見ればもうすぐ二十三時。これから夕食かあ、と苦笑する。

「お疲れ様です。今日のメニューはなんですか?」

「ペペロンチーノ。猛烈に食べたくなった」

彼のお腹は気まぐれだ。お酒だけの日もあれば、夜中にガッツリ食べる日もある。

それも夕飯を用意しておかない理由だ。そういうささやかな選択肢を残しておかないと、きっと彼は息苦しくなってしまうだろうから。

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