ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
「……すみません、教えてください」

「素直でよろしい」

そう言って康惺さんは、真面目な先生モードに切り替える。

「いいか、競争下における価格決定と、超過需要を導き出す問題だ。需要関数はすでに定義されてる。【Q=10000−1000P】、これはわかるな?」

彼の指先が問題文をなぞる。その動きを見ながら、私はこっくりと頷いた。

「多数の建設会社が競争するなら、一戸当たりの販売価格は限界まで下がる。この場合は三千万。Pに代入するとQは?」

「ええと、Pが3になるから……7000」

「そう、つまり七千戸の需要が発生するわけだ。しかし、供給できる戸数に限りがある。供給を差し引けば超過需要がわかる」

彼が私のシャープペンを使って、問題文のポイントに下線を引いていく。

お役所の文書のように回りくどい文章題だから苦手意識を持っていたが、彼がかみ砕いてくれたら拍子抜けするほど単純な問題だった。

彼の低く柔らかな声が、私のこんがらがった頭を優しく解きほぐしてくれる。

「さあて、こっからが本番だぞ。お前の大好きな微分だ」

彼があまりにも楽しそうに言うから、私はぐっと喉を鳴らした。

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