ハイエンドマリッジ~身も心も成熟したオトナの男に愛されて~
私はまだまだ彼のことがよくわからないのに、私だけわかられているというのは、なんだか悔しくもある。

「大丈夫、なんとかなる」

そう言って飲み終えたマグカップをキッチンに置きに行く彼。

昔だったらいい加減なことを言わないでと怒っていた気がするが、今は信頼されているように感じるのだから不思議なものだ。

「まあ、どうしてもわからなくなったら聞きに来い。気が向いたら教えてやる」

そうふてぶてしい顔で言い置いて立ち去ろうとする彼に、私は早速「お願いします」と参考書を向ける。

「……頼るのが早すぎだろ」

「せっかく詳しい方が身近にいるのに、頼らないのはもったいない気がして」

「まあ、そのくらいふてぶてしい方が世の中うまく渡っていけるとは思う」

ため息を混じらせながら、私の隣の椅子に座り直す。

参考書を寄せると、彼はテーブルに肘をのせ、頬杖をついた。

「設問一は――需要と供給の基礎か。これは問題ないな?」

「康惺さんのお手並みを拝見します」

「わからないなら素直に言え。教えてやらないぞ?」

指で額をピンと弾かれた。もちろん痛くはないが、甘いお仕置きに頬がじわりと熱くなる。

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