不良ヤンキーくんは、私だけにずるい
好きだと気づいた日
私は視線を横に向けると神崎くんの顔が近かった。

「わ!」

私はびっくりしてベットから飛び起きると勢いが良すぎて反対方向にグラッと落ちそうになった。

その瞬間、神崎くんの手が私の後頭部に回った

「危ねぇ」

低い声が聞こえて、心臓が一気に跳ねる。

「神崎くん、ちかーーー」

私が言い切る前に神崎くんの指が私の髪の毛をなぞるように触れた。

「寝癖やべぇな」

私は頬が熱くなって反射的に髪の毛を抑えると神崎くんは小さく笑った。

「つーか、お前寝顔可愛すぎだろ」

私は恥ずかしくなって顔を横に向けた。

多分神崎くんは思った事をすぐに口に出す超ドストレートな人なんだろう。

先生が授業をしている声も生徒の声も聞こえない。

ただ、時計の音だけがカチカチ響く空間に私は気まずくなって立ち上がった。

「私、先戻ってるね」

私そう言って振り向かずに教室に戻って席に着いた。

時計を見ずに出てきたけど、ちょうど10分休憩でよかった。

私に気づいた佳奈は私の机に駆け寄ってきた。

「ねぇ、神崎くんどうなったの?」

「どうって?」

私は先輩を吹き飛ばした事を言っていいのか分からなかった。

神崎くんがあの先輩を吹っ飛ばしたなんて言ったら多分みんなから怖がられるんじゃないかと思って何事もないように返事をした。

「追いかけて行って2人とも帰ってこないから、クラスのみんなが付き合ってるんじゃないかーって噂してたよ」

確かにそう思うのも無理はない。

付き合ってはないけど保健室で一緒に寝てたなんて親友の佳奈にも恥ずかしくて言えない。

「い、いやぁ.....」

その時斜め後ろから椅子を引く音が聞こえて視線を向けると神崎くんだった。

周りの女子達が神崎くんにまた近づいた。

「神崎くん、佳奈とつきあってるの?」

ドストレートな人だから保健室のことを言わないか心配だった。

でも神崎くんは保健室の事は言わずに私の胸がズキッとする一言を放った。

「いや、ただの友達」

''友達''本当だったら嬉しいはずなのに、その時は何か違った。

この気持ちがなんなのか自分でも分からない。

私は放課後佳奈との帰り道に相談することにした。

「佳奈、神崎くんが私の事友達って言った時なにか嫌だったの」

「私だけは特別に扱って欲しいとかそんな気分」

私は下を俯いたまま佳奈に相談した。

「恋じゃない?」

恋?でも、元彼にそんな事を思った事がない。

そして佳奈もドストレートタイプか....

「友達じゃ嫌なんでしょ、彼女になりたいでしょ?」

彼女になれば何をするんだろう。

元彼と一緒に帰ったことすらない。

なんなら私に見せつけるように女の子とくっついていたから分からない。

「彼女って何するの?」

佳奈は人差し指を顎に当てて考える。

「んー、一緒に帰ったり、デートしたり、キスしたり」

「それを神崎くんとしたいんじゃないの?」

神崎くんとデート?キス?

考えただけでも顔が熱くなった。

「それじゃあ、クラスの赤坂くんとキスする事を想像してみなよ」

赤坂くんは顔はそこそこかっこよくて運動神経も抜群なクラスメイト。

でも、赤坂くんとキスなんて想像もできないし嬉しくもない。

「できない」

「それじゃ、それが梨々香の答えだよ」

私の答え?どういう意味かわからなかった。

「好きって事だよ」

私が神崎くんを.....好き?

すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

「梨々香」

振り向くと神崎くんだった。

神崎くんに初めて名前で呼ばれた.....

そしてこれはタイミングが悪すぎる。

多分私神崎くんの顔を見ていられない。

「ほら梨々香、行ってきな」

佳奈は私の背中をがんばれと言わんばかりに優しく押した。

「神崎くんどうしてここに?」

やっぱり目が合わせられない。

私は神崎くんじゃなく、少し熱い地面に視線を逸らした。

「どうしてって、帰ってるから」

私、見れば分かる質問をなぜ今したんだろ。

多分今までにない以上に自分が自分じゃいられなくなった。

「帰るぞ」

私は返事もせず、神崎くんの後ろをついて行った。

そこで佳奈の言葉を思い出した。

''好きなんでしょ?''

多分佳奈は私にチャンスをくれたんだ。

私は勢いよく神崎くんを呼んだ。

「神崎くん!」

「ん?」

「私、神崎くんが.....す...すー」

神崎くんは少しだけわらった。

「お前いつまで神崎って呼ぶんだよ」

「玲だよ、今日から苗字禁止な」

私、好きだなんて言おうとして名前をしらなかったんだ。

てか、苗字禁止って難易度高すぎるんですけど.....

「無理です!神崎くん!」

「玲な?」
神崎くんの表情が少し鋭くなった。

「れ....玲くん....」

「よくできました」

神崎くんは私の頭をポンポンと軽く叩いてきた。

「つーか、お前顔赤すぎ」

「そんな反応されたら、こっちまで調子狂うんだけど」

私は日に日に神崎くんの事が分からない。

まず好きでもない女の子にそんな事いうのか....

少しだけ期待してもいいかもしれない。
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