神の愛
 見たところは6か月くらいかなと思うくらいの乳児。
 髪は短いがサラサラしているのが分かるプラチナブロンド。
 両目は黄緑色に近い緑の眼。両目は開かれ、俺の方を見ると、顔がへにゃんと綻んだのが分かった。

「わ~、赤さんや~」
「赤ん坊やん、どないしてここに? それにしても人懐っこい顔しとるな」
「お~、可愛いベイビーだね~。誰の子ども?」
東舞(とうま)くん、この子は君のお子かい?」

 予想外の赤ちゃんの姿に思考を停止する。寝室の扉の方向から聞こえてくる4人の声。

「あんたらがやったんだろ!」

 まだ朝に馴染んでいない身体を無理矢理に立ち上がらせ、声のした方を向けば家族4人の姿。全員、既に着替えが住んでいた。

 彼らのあまりにも軽い言葉に苛ついて言葉を発する。

「いや、知らない」
「知らん」
恵介(えいすけ)のベイビーじゃないの」
「いいや、申し訳ないことに私の子どもではないね」

 俺の言葉に返ってくる4人の否定の言葉。口々に発される言葉に絶望しか感じられなかった。

 4人が嘘をつくはずがない。というより、この家に住むうえで『こういう』嘘をつく必要性はまったくない。今の戸籍上、『そういう』嘘をつく必要はないと言い換える方が正しいか。

「ではとにかく、一旦、朝ご飯食べようか!」

 叔父の伊倉亮(いくらまこと)の言葉に俺は言葉なく頷いた。

 そして、そんな俺の腕のなかでは赤ちゃんが満面のニコニコな笑みを浮かべながら、俺の顔に手を伸ばしていた。

 致し方なく、赤ちゃんを抱き上げる。既に首は座っているようで俺が抱き上げれば赤ちゃんはキャッキャッと嬉しそうな声を挙げた。
 その声はあまりにも俺が聞くには相応しくないほど、可愛らしく、純粋な好意が含まれていた。
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