神の愛

第2話 家族会議

「というわけで起きたら赤ちゃんいたんだけど、どうすればいい? お袋」
「いや、知らない。まず、私赤ちゃん育てたことないし」
「俺も流石にないな」

 午前7時10分。

 居間に下りて親父、伊倉龍章(たつあき)とお袋、伊倉花香(はなか)に話をする。二人の反応は至って、淡泊だ。子どもの居室に起きたら乳児がいたと聞かされても動揺しないところは見習いたい。

 同居人の一人の伯父さんである伊倉(みずき)は仕事でいない。それ以外の家族は全員いる。

「まあ、だよな。義兄(にぃ)さんあたりの子どもだと俺は思いたいんだけど、そこはどう、義兄さん」
「なんや、オレの隠し子やと思とるんか。それは申し訳ないなぁ。一番有り得そう思うのは分かるけど流石にないわ。あっても嫁さんの結芽(ゆい)さんには言っとるわ」
「残念ながら私のベイビーでもないわね。慶吾(けいご)さんの隠し子の話も聞いたこともないし。多分、(がく)くんも亮さんも違うわよね。母さんと父さんは必然的になし。となると、聖さんと恵介くらいしか該当者いないのだけど」

 カチャカチャと箸が食器に当たる音が居間に七つ。

 チュパチュパと哺乳瓶からミルクを飲む音が一つ。

 俺の言葉にお袋は興味なさげな顔のまま、箸をお惣菜に伸ばす。

 義兄さんである伊倉慶吾は俺の言葉に不機嫌そうに顔を歪める。本業がヤクザなら隠し子の一人や二人いてもおかしくないだろう。

 姉である結芽は自分の夫の言葉に頷きながら、テーブルを挟んだ反対側で唯一空席である伯父さんの席に目をやる。

 伯父さんは仕事で出張中だ。正直、乳児を家に置いて行くためだけに帰ってくるとは思えないので容疑者からは外れた。

 
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