恐怖探偵団と学校の七不思議
胸の中を掻き乱す感情を必死に殺し、麗奈は咳き込みながら歩く。背中に刺さる誰かの視線には、気が付かないフリをした。



夜の十時、塾が終わった。塾を出ると多くの保護者が子どもたちに「おかえり」と声をかけ、一緒に帰っていく。東京にいる麗奈の両親は当然その中にいない。

「お嬢様。おかえりなさいませ」

麗奈に声をかけたのは、両親が雇った家政婦である黒瀬美奈子(くろせみなこ)だ。黒髪をいつも黒いヘアゴムで縛り、無表情な四十代ほどの女性である。

「お迎え、ありがとうございます」

麗奈はそう言い、美奈子の車に乗り込んだ。麗奈も美奈子も何も話さない。そのため、お互いのことをほとんど何も知らない。

「お夕食はテーブルに置いてあります。お風呂も沸かしてあります。何かあれば、連絡お願いします」

麗奈を家の前で下ろした後、美奈子は淡々と説明して帰って行った。美奈子の家は、麗奈が一人で暮らす一軒家から車で五分ほどの距離にある。
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