ふたつの時を、重ねていく【『ふたつの弧が、重なるとき』番外編/不定期更新中】
 至近距離で顔を見合わせ、フリーズした。

(この声は……)

「……えっ。だ、だれ?」

 ドアの向こうから突然聞こえてきた女性の声に、美絵が戸惑う。

 ――ピーンポーン。

 そのまま動けないでいると、容赦なく二度目のチャイムが鳴り響いた。

「祥ー! いるでしょー!?」

 部屋の明かりがついているのを、外の道路から確認したのだろう。
 わけもわからず身体を起こし、絶望と共に呟いた。

「……姉貴だ」

「……えっ!」

 慌てて洗面所の鏡で、自分の見た目に乱れているところがないかサッと確認した。
 そして玄関に向かい、小さく深呼吸してからドアノブに手をかける。

 ――ガチャッ……

「……ハイ」

 薄く開いて覗くと、そこにいたのは――やはり姉の奈津子だった。

「ちょっと、もー。いるなら早く開けてよね!」

 ドアに手をかけられ、ガッと容赦なく全開にされる。

「……んっ?」

 そして姉は、ワンルームで隠れる場所もなく、所在なさげにちょこんと立つ美絵にすぐ気づいた。

「あっ……おっ……お邪魔しています! 初めまして、森美絵といいます!」

 ペコっと勢いよくお辞儀をする彼女。

(か、可愛い)

 思わずそんな感想が頭をよぎってしまうが、(いや、今はそうじゃなくて)と自分にツッコむ。

「……この美人さんは、どちら様?」

 姉はただただキョトンとして、尋ねてきた。
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