ふたつの時を、重ねていく【『ふたつの弧が、重なるとき』番外編/不定期更新中】
 ◇

「それじゃあっ。お邪魔しましたー! 美絵ちゃん、またお話しようねっ」

「……はいっ! すごく楽しかったです! ありがとうございました……!」

 結局、姉は小一時間くらい僕たちを質問攻めにしたあと、取引先との会食の時間だと言って、嵐のように去っていった。

「じゃあ、またねー! バイバーイ」

 パタン。

 足音がちゃんと遠ざかったことを確認してから、口を開いた。

「……ほんと、ごめん。突然だし、騒がしいし……」

「ううんっ! ずっとお姉さんに会ってみたかったから、嬉しかった……!」

 そう言った美絵の瞳は少しも無理していなくて、本当に喜んでくれているようだった。

「……え、そう? なんで?」

「だって、素敵なお姉さんだし。祥ちゃんの弟モードも可愛いし、ずっとキュンキュンしてた。『奈津姉』って呼んでるんだ……!」

 勢いよく抱きついてくる。

「……? それならよかった、けど……」

 姉にいじられるところを見せるのは気恥ずかしかったけれど。
 美絵が喜んでるなら、まあ……いいか。


「……いいなあ。私もあんなお姉さん、ほしいな」

 美絵はそう言って、胸元からチラリと僕を見上げた。
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