ふたつの時を、重ねていく【『ふたつの弧が、重なるとき』番外編/不定期更新中】
 ◇

 到着後、最初のイベントとして、砂浜でちょっとしたビーチバレー大会が開催されたけれど、あまりの暑さで早めに終了した。

 ひとしきり海で涼んだあと、パラソルの下で休んでいる一年男子の集団に突撃し、ちゃっかり祥くんの隣に腰を下ろす。

「ヨッシー、頑なにラッシュガード脱がねーな!」

 祥くんと仲が良い、正人くんの視線の先。
 そこでは、同じく一年生の美絵(よしえ)ちゃん(とんでもなく綺麗な顔立ちをしている)が、女の子たちと浅瀬で遊んでいる。

「水着、何色なんだろ」
「んー、白」
「いや、青だろ」

 そんな予想を言い合って盛り上がる男子たち。

「祥太郎、どう思う?」

 話を振られた彼は「知らね」と流していた。

 祥くんと美絵ちゃんはなんと中学の同級生らしいけれど、彼が他の男性陣のように彼女のことで騒いでいるのは見たことがない。
 もしかすると、女の子にあまり興味がないのかもしれない。

 そんなことを考えていたら、美絵ちゃんが友達に腕を引っ張られてバランスを崩し、波の中にバシャンと顔まで浸かってしまった。

「キャーッ!!」
「ちょっと、いずみーっ!」

 瞳に海水がしみたようだけど、二人ともケラケラと笑い合っている。
 ラッシュガードの中に砂が入り込んだのか、美絵ちゃんはフロントのチャックに手をかけた。

「おっ!? ついにお披露目するぞ!?」

 水着の色の答え合わせをしたい彼らが、一斉に目を凝らした――そのとき。

 祥くんが、バッと立ち上がった。


「……暑いっ。かき氷食いたい」


「は? 買ってきたら?」
「いや、みんなで行こうぜ」
「今、忙しいんだよっ」
「いーから」

 祥くんは、文句を言う正人くんの他に、数人の男子の首根っこを掴み、半ば無理やり海の家へ連行していった。

(……? 意外にマイペースなところもあるのね?)

 あっけにとられながら視線を海に戻すと、美絵ちゃんは水着姿になっていた。
 色はミントグリーン。白い肌と青い空の下にぴったり似合っていて、同性の私から見ても眩しかった。
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