私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】
たった一人の家族に嘘を付き続けられたことが悲しいんだ。


寝る前にいつも言ってくれた「愛してる」も今となっては信じるに値しない。


嘘なんて嫌いだ。


嘘つきなお母様は、もっと嫌い。


こうして大切だと信じてやまない過去の全てもが偽りに見えてくる。





気付けば裸足のまま家を飛び出していた。


今思えば運がよかったのだろう。


いつもは念入りに掛けられている玄関の五つの鍵も、来客がいたためか今日は通常の鍵しか掛かっていなかった。


すぐに気付かれたけど、日付も変わった暗い外では物陰に隠れることを繰り返すだけでやり過ごすことができた。


どれくらい歩き続けたかは分からないけど手足の先の感覚が無くなった頃、大きな建物にたどり着く。


ここ、なんだろう・・・。


大きな十字架が目に入り暫くして教会と呼ばれるものだと気付く。


明かりもない教会を見て今日はここに隠れようと重たい扉を開けた。


中は木材が倒れていたり、ステンドガラスが割れていたりとぐちゃぐちゃだった。


明かりだって中央にある蝋燭しかなくて心もとない。


(ここ、好きな人同士で誓い合う場所じゃないの?皆こんな場所で誓うの?)


わたしだったら嫌だけどな・・・。


どうか怖い人達もいませんようにとぬいぐるみを抱きしめ中央へ向かう。


ぬいぐるみ、なんでか持ってきちゃったけど置いてかなくてよかった・・・。
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