私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】
よく分からないなぁ・・・。


「君はここが家じゃないならなんでいるの?」


「俺様?俺様今日誕生日なんだよ!誕生日ってさァ、普段できないことをやりたくなるじゃん?だから夜の街に繰り出してやろうと思って!」


キラキラと瞳を光らせ熱く語る少年。


さっきまでの暗い空気が嘘みたいに、この場所だけが少し違う世界になったみたいだった。


見たことのないタイプの人間は、やけに輝いて見えた。


「君、今日が誕生日なの?わたし昨日だったから一日違いなんだ」


「まじ?すげー偶然じゃん」


「うん。でも、あんまり嬉しくなかったな・・・」


「嬉しくないだぁ?」


縮こまるわたしの腕を引っ張り強引に顔を上げられる。





「俺様に出会えたんだ。光栄だろうが?」





八重歯をチラつかせて嬉しそうにそう言ってのけた少年。


なんともまぁ、傲慢で。


太陽みたいに眩しくて、無遠慮で、まっすぐな人間だ。


「お前家無いなら俺が拾ってやるよ」


「え?」


「お前の知ってる辛さが比べ物にならない地獄に足を突っ込むことになるけど、その覚悟があるならな」


彼はぱっと掴んでいた手を離し今度は掌を向けるようにして伸ばしてくる。


選べ、ってことだよね。


ずるいよ。さっきまで強引な態度だったのに。


『お前の知ってる辛さが比べ物にならない地獄』


その言葉が何度も頭の中で反響する。


それでも────────────、


「ねぇ、あなたは嘘をつかない?」
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