私は✕✕を知らないⅢ【毎週水曜更新中】
「あぁ?何言ってんだ」
「いいから答えてよ」
有無を言わさないわたしの態度に、少年は一度だけ怪訝そうな顔を浮かべて後頭部を掻く。
「あぁもう!分かった!お前にだけは嘘はつかねーから!」
またまっすぐに見つめて、腕を伸ばす。
「ん!」
「うん」
わたしは今度こそ躊躇う事無くその手を取った。
「絶対。絶対だからね。わたし嘘は嫌いだから」
「分かってるって。約束すっからよ」
神様の像までもが崩壊している寂れた教会。
わたし達は神様なんかではなく、お互いに誓い合った。
幼い子がキラキラしたものや宝石に目を奪われるのと同じ、あの日の感覚はまさにそれだ。
嘘をつかない。
たったそれだけでわたしは君の手を取ったことを後悔なんてしなかった。
ぎゅっと手を握ったまま朝日が昇るまで他愛ない話をした。
一つ上だと言う彼が教えてくれる世界はどれも魅力的で、事あるごとにお前もやろうな!って声を掛けてくれるものだからずっと頬が緩んでいた気がする。
わたしに欲というものを教えてくれたのは少年だった。
蝋燭が無くとも明るくなった頃、少年の家に行くために入口へと向かう。
「そういや、名前聞いてなかったな」
扉を開ける直前ふと思い出したかのように少年は口にした。
そういえばこの子の名前知らないな。
「俺は蓮って言うんだ」
「れ、ん」
「お前は?」
一歩先、眩しい光に包まれながらこちらを待つ蓮。
ドクドクと、うるさいほどに脈打つのが分かる。
続くように踏み出し、わたしは自分の名前を口にした───────。
「いいから答えてよ」
有無を言わさないわたしの態度に、少年は一度だけ怪訝そうな顔を浮かべて後頭部を掻く。
「あぁもう!分かった!お前にだけは嘘はつかねーから!」
またまっすぐに見つめて、腕を伸ばす。
「ん!」
「うん」
わたしは今度こそ躊躇う事無くその手を取った。
「絶対。絶対だからね。わたし嘘は嫌いだから」
「分かってるって。約束すっからよ」
神様の像までもが崩壊している寂れた教会。
わたし達は神様なんかではなく、お互いに誓い合った。
幼い子がキラキラしたものや宝石に目を奪われるのと同じ、あの日の感覚はまさにそれだ。
嘘をつかない。
たったそれだけでわたしは君の手を取ったことを後悔なんてしなかった。
ぎゅっと手を握ったまま朝日が昇るまで他愛ない話をした。
一つ上だと言う彼が教えてくれる世界はどれも魅力的で、事あるごとにお前もやろうな!って声を掛けてくれるものだからずっと頬が緩んでいた気がする。
わたしに欲というものを教えてくれたのは少年だった。
蝋燭が無くとも明るくなった頃、少年の家に行くために入口へと向かう。
「そういや、名前聞いてなかったな」
扉を開ける直前ふと思い出したかのように少年は口にした。
そういえばこの子の名前知らないな。
「俺は蓮って言うんだ」
「れ、ん」
「お前は?」
一歩先、眩しい光に包まれながらこちらを待つ蓮。
ドクドクと、うるさいほどに脈打つのが分かる。
続くように踏み出し、わたしは自分の名前を口にした───────。