私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】
いつかのように八重歯を見せながら笑う蓮。


嫌だよ。


そんな奴に構わないでよ。


汚い感情を抱きながら私はただ押し黙る。


蓮に捨てられるような事があれば、それこそ生きる意味なんて無いから。


蓮の言葉の後にこちらに一瞥してからその手を取った少年。


この瞬間から私達は仲良くなるなどできないのだと悟った。


『お前名前は?』


『ないよそんなの』


『えぇー?不便じゃんそれ。なら俺が付けてやるよ』


『好きにして』


『・・・周囲に影響を与える人間になる、って事で響!キョウでどうよ!』


ニコニコ、それはもう嬉しそうに話す蓮。


こんなところが好きなんだからと自分に言い聞かせて三人で帰路に着く。


それが、キョウとの出会い。


それから私は皐月と伊月を拾って、人の事は言えないなどと笑われたりして西で組にお世話になりながら生活をしていた。


生まれが西なのかは分からないがきっとこの身は根っから西に染まっていたのだろう。


違和感や不満を覚えることなく、ただただ生きていた。


キョウとは相変わらずだったがお互い最低限のやり取りしかしないため、それ以上に仲が悪くなる事も無かった。と、思う。








───────二年前に、あの事件が起きるまでは。
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