私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】
「ねえ、ましろちゃん?一つだけ教えて?」


「・・・?」


奥歯を噛み締めていると、頬に手を添えられた。されるがままに俯いていた顔を上げる。


あの日から見れなかった優里の目は、まっすぐ見つめてくる。


私の好きな、澄んだ瞳。


ああ、こうして俯く貴女の顔を上げるのが私だったのに。


立場が変わったこの状況を不思議なことに嫌とは思わない。


「ましろちゃんも怖かったの?あたし達に会うの」


怖かった・・・?


「あたし達に会うの嫌なんかじゃなくて、怖かったの・・・?」


嫌ではなく、怖かった・・・。


言葉にされて気付く己の感情に思わず笑ってしまう。


そうだ。


皆に会いたくないと、駄々を捏ねていた理由は怖かったからだ。


拒絶されるのが怖くて、会いたくなかったんだ。


馬鹿なのはどっちなんだろうか・・・。


小さく頷いた私に優里は抱き着く。


この馬鹿力も今となれば愛おしい。


「よかっ、たぁ!あたしもね、あたしも一緒だよ!もう会いたくないって言われたらどうしようって!怖くて怖くてッ!」


「〜っ、・・・ごめん。ごめんね」


「ましろちゃんの馬鹿ぁ〜!謝るの禁止〜!」


わんわん泣きながらぎゅっと抱きしめてくれる熱に応えるように私も抱きしめる。


「でも、私は人殺しで」


「あたしが傍に居たいから居るの。それに、人殺しだったとしても・・・ましろちゃんの事を嫌いになんかなれないよっ」


「随分と盲目的ね」


「・・・人殺しは、もちろん良くないと思う。その事実が消えるわけでもないと思うから」


「・・・うん」
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