私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】
「でもさっきの言葉は本心で、・・・これは全部、ましろちゃんがあたしにくれた言葉なんだよ」


腕の中で呟く優里。


ああ、どうしようもないな。


このお姫様は無害そうに見えて核心を突くのが上手いんだから。


「綾波、」


瑠璃川・・・?


名前を呼ばれて視線を向ければ垂れた耳が見える子犬がそこにはいた。


「瑠璃川もおいで?」


これでいいんだろうか。


疑問に思いながらも腕を広げれば満面の笑みで飛び込んで来る子犬。


ああ、よかった。正解だったみたいだ。


「こら、ましろさんは怪我人なんですから」


藤城・・・。


「はは、かくいう昴もそわそわして落ち着かなかった癖に」


谷垣・・・。


「本当、心配だったんだからね」


水嶋・・・。


「お前の考えは根本から間違ってる。この街には真っ当な人間の方が少ないんだ、お前だけが責められる筋合いは無い」


皇・・・。


「俺や綾波を含めそういった生き方をしてる人間は少なくない。そんな奴らを、お前は否定はしないだろう?なら自分の事も受け入れてやれ」


「そう、ね」


胸の奥がむず痒くなり、思わず視線を逸らした。


「こほん、それにしても」


この沈黙を破ったのは藤城。


「西のトップが篠澤組の若頭だと判明した時から気になっていましたが、私達の後ろには意図的ではないにしろそれぞれ組の存在があるという事ですよね」


「・・・ええ」


病室の空気が僅かに張り詰める。
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