隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
 ストン、と腑に落ちるように、昂輝の言葉が蒼乃の傷ついた心にじっくりとしみていくのが分かった。


「そう……よね。嘘だろうとは思ったんだけど、でも……」
「いや、でもあんな奴が急に現れて好き勝手言ったら、そりゃあ不安だったな。ごめん、気づいてやれなくて」


 昂輝の大きな手が、蒼乃の小さな手にそっと触れた。

 上から重ねられたその掌は、じんわりと温かい。


「養育費も、断ったんだけどそうしたら『昂輝さんが大変なことになる』『救えるのは私だけ』って」


 そして今、その言葉通り、御堂ジュエリーは連日のように悪意にさらされ、株価も下がり続け、窮地に立たされている。

 すべて、晶子の言った通りに進んでいるように思えて、蒼乃の胸に再び別の不安がよぎった。


「なるほど。だいたいわかった」


 昂輝が低く呟いた瞬間、今度は彼のスマートフォンがブブッと短く鳴る。

 画面を確認した昂輝が、すぐに通話ボタンを押した。


「田丸からだ。もしもし……そうか、やはりな。助かったよ。気を付けて……ああ」


 短いやり取りののち、電話を切った昂輝の顔が、目に見えて険しくなった。


「地下駐車場で、変な奴らに待ち伏せされたらしい。一旦降車しかかったけど、そのまま車で逃げたと」


 その言葉に、蒼乃の顔から血の気が引いていく。


「じ、じゃあ……」
「あのまま降りていたら、危なかったな。おそらく、俺たち三人を狙っていた」


 静まり返ったリビングに、重苦しい空気が流れる。

 逃れようのない不気味な悪意が、すぐそこまで迫っているという事実が、重くのしかかった。
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