隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
「あのね、昂輝……」
「ん?」
「さっき、やり直したいって言ってくれて嬉しかった。私も、まだ間に合うなら、昂輝と向き合いたい」
昂輝の目が見開かれ、絡められた手のひらにグッと力がこもった。
「蒼乃……」
「でも……輝のことを一番に考えたいの。あの子が不安にならないように、あの子が安心できるようにしたい。私たちの話は、それからでもいい?」
母親としての決意を込めた眼差しを受け止め、昂輝は深く、真摯に頷いた。
「もちろん。ひかるくんの気持ちを第一に考えよう。……あの、ひとつ聞いていいかな?」
「なに?」
「ひかるくんの字って……」
昂輝の問いに、蒼乃は一瞬、ぽかんと目を開く。
そうか。
音だけ聞いていたから、わかっていなかったらしい。
「うん。……昂輝の、輝の字」
「本当に?」
大きな昂輝の声が、夜の空気を揺らす。
彼はハッと口元を抑え、それでも、嬉しそうに口角を緩める。
少し灰色がかった瞳。
輝と同じ色の瞳には、暗闇の中に一筋の巨大な光が射し込んだかのような、大きな喜びの色が揺れている。
「……怒るかもしれないって、思ってたの。勝手に使ったから」
「怒るわけないだろう。嬉しいよ、すごく。輝くんと……息子と、離れていたけど、繋がりがあった。それがすごく嬉しい」
昂輝は、こみ上げる感情を堪えるように天を仰ぎ、それから愛おしさを堪えきれない様子で蒼乃の手を両手で包み込んだ。
彼の喜びの大きさを目の当たりにした瞬間、蒼乃の胸がズキリと痛む。
五年間、自分だけが傷ついてきたのではない。
自分が逃げ出したせいで、彼から「父親としての五年間」を丸ごと奪ってしまったのだ。
何と、重い罪だろうか。
「ごめんなさい」