似た者同士の契約婚 ~結婚しないと宣言した日に出会った相手は、不眠の心臓外科医でした~
しかし、そう思っていたのは美空だけだったようだ。
(まさか婚姻届を出してくるなんてね。私、洋介のこと本当になにも分かっていなかったんだな)
デートをするはずだったあの日、美空はそれで終わったのだと思っていた。
けれど、洋介から何度もメッセージが届いたのだ。
『怒ったのか? 説明させてほしい。あいつとはたまたま会っただけだ』
『お前とのデートはするつもりだった』
『返事くらいしてくれ』
今までこんな頻度でメッセージを受け取ったことのない美空は、彼の連投攻撃にそれはもう驚いた。
けれど返す気力もなく放っていると、どこかのURLが送られてきたのだ。
『ここを予約したから。ちゃんと話をしよう』
そこは記念日でも行ったことのないような高級ホテルのラウンジだった。
すでに予約されているという文言もあり、美空はとうとう無視することが出来なくなったのだ。
そうして仕方なく会った洋介に、婚姻届を渡されたのだった。
『美空はこれを見たら許してくれるはずだよ。ほら』
なんて――。
「あー思い出しただけでも最悪。どういう神経してるのよ」
分かり合えていないどころではない。
あんなおざなりなプロポーズで満足すると思われていたのが、ショックだった。
「でも、これでおしまいっと!」
美空は不要な物をゴミ箱にすべて押し込むと、晴れやかな顔で伸びをする。
明日からの仕事は少し憂鬱だったけれど、気持ちはすっきりしていた。喉の奥に刺さった魚の小骨が取れたような気分だった。
(そういえば、あの人はどうなったかしら?)
ふと、ホテルのラウンジで同じ言葉を吐いていた男性を思い出す。
一瞬だけ仲間意識の芽生えた彼。
モデルのように整った顔をしていたが、目の下に隈があった。お相手とのゴタゴタで眠れていないのかもしれない。
『結婚はしないと言っただろう?』
その言葉を言われたお相手には同情するが、どうか彼が無事に結婚を回避出来ていますように、と美空は祈るのだった。
(まさか婚姻届を出してくるなんてね。私、洋介のこと本当になにも分かっていなかったんだな)
デートをするはずだったあの日、美空はそれで終わったのだと思っていた。
けれど、洋介から何度もメッセージが届いたのだ。
『怒ったのか? 説明させてほしい。あいつとはたまたま会っただけだ』
『お前とのデートはするつもりだった』
『返事くらいしてくれ』
今までこんな頻度でメッセージを受け取ったことのない美空は、彼の連投攻撃にそれはもう驚いた。
けれど返す気力もなく放っていると、どこかのURLが送られてきたのだ。
『ここを予約したから。ちゃんと話をしよう』
そこは記念日でも行ったことのないような高級ホテルのラウンジだった。
すでに予約されているという文言もあり、美空はとうとう無視することが出来なくなったのだ。
そうして仕方なく会った洋介に、婚姻届を渡されたのだった。
『美空はこれを見たら許してくれるはずだよ。ほら』
なんて――。
「あー思い出しただけでも最悪。どういう神経してるのよ」
分かり合えていないどころではない。
あんなおざなりなプロポーズで満足すると思われていたのが、ショックだった。
「でも、これでおしまいっと!」
美空は不要な物をゴミ箱にすべて押し込むと、晴れやかな顔で伸びをする。
明日からの仕事は少し憂鬱だったけれど、気持ちはすっきりしていた。喉の奥に刺さった魚の小骨が取れたような気分だった。
(そういえば、あの人はどうなったかしら?)
ふと、ホテルのラウンジで同じ言葉を吐いていた男性を思い出す。
一瞬だけ仲間意識の芽生えた彼。
モデルのように整った顔をしていたが、目の下に隈があった。お相手とのゴタゴタで眠れていないのかもしれない。
『結婚はしないと言っただろう?』
その言葉を言われたお相手には同情するが、どうか彼が無事に結婚を回避出来ていますように、と美空は祈るのだった。