似た者同士の契約婚 ~結婚しないと宣言した日に出会った相手は、不眠の心臓外科医でした~
数日後。美空は仕事を休んでいた。しかも単なる有給休暇ではない。休職制度を使うことになったのだ。
きっかけは優斗だった。
(まさか優斗さんが洋介達と話をしていたなんて……)
『俺が言えた義理じゃないけど、元カレがあんなヤバイ奴だって相談してほしかったな。マネージャーとかいう人も相当無能だ。あんな職場環境最悪じゃないか』
思いを伝え合った日の夜。
優斗は寝る前、思い出したように美空にそう告げた。
『な、何故洋介やマネージャーのことを?』
『今日あの男と話したんだ。あ、向こうから話しかけてきたんだ。別にこっちから喧嘩を売った訳じゃないから安心して』
美空は息が止まるほど驚いた。まさか洋介が優斗にまで突っかかるとは思っていなかったのだ。
彼の愚行を謝ろうとすると、優斗はそれを制止した。そして美空に告げたのだ。
『彼の態度はゼスティア・スポーツクラブ本部に報告する。それで何か変わるか分からないけど、客としてみても異常だったから』
きっぱりとそう告げた優斗に、美空は困惑していた。
(確かにお客様にも迷惑よね。気持ちよく利用できないもの)
自分さえけ耐えれば良い。たいしたことではない。そう思っていた。
けれど、話し合う内に自分の考えが麻痺していることに気がついた。
(あんな風にお客様の前で怒鳴られたり、私を庇ってくれた優斗さんまで暴言を吐かれてる)
だから美空は優斗の提案に頷いた。
『よろしくお願いします』
そしてその話をした翌日、美空はジムから『しばらく休暇を取るように』と連絡を受けたのだ。
おそらく優斗のクレームを受けての判断なのだろう。
(電話をしてきたマネージャー、思ったより優しかったな)
洋介と別れてから美空の言動をすべて面倒臭そうに対応していたマネージャーだったが、今日は『これ以上、君に危害が加わるのは良くない。有給休暇と同等の特別休暇だから、何も気にせず十分に休息を取れよ』と言ってきたのだ。
「久しぶりの連休だ。何しよう……」
優斗が仕事に出掛けると、家に一人取り残された気持ちになる。
突然の休みに、美空はただぼんやりとベッドに座っていた。
「そうだ、仕事を探そう」
美空は自室に置きっぱなしになっていたノートPCをつけると、転職サイトを開いた。
「給料が悪いとか若手しか採ってくれないとか、贅沢言ってる場合じゃないもんね」
もう洋介との関係は拗れまくってしまったし、休職後にどのポジションに戻るか分からない。
優斗が本部に報告したからといって、すべてが解決するわけではないのだから。
転職サイトからインストラクターの求人を片っ端から確認していく。
けれどやはり現実は厳しいようで、応募できそうな求人はほとんどなかった。
「やっぱり厳しいよなー。……ん? これ、良いかも」
条件を変えながら検索していると、ある求人が目に留まった。
「オンラインレッスン講師募集……年齢制限もない。給料は時給制だから、お客様がつかないとゼロってことね」
正直たいした稼ぎにはならない。ほとんどの人が副業でやっているようだ。
「それでも無職よりはマシよね」
美空は募集要項を再度確認すると、思いきってエントリーボタンを押した。
きっかけは優斗だった。
(まさか優斗さんが洋介達と話をしていたなんて……)
『俺が言えた義理じゃないけど、元カレがあんなヤバイ奴だって相談してほしかったな。マネージャーとかいう人も相当無能だ。あんな職場環境最悪じゃないか』
思いを伝え合った日の夜。
優斗は寝る前、思い出したように美空にそう告げた。
『な、何故洋介やマネージャーのことを?』
『今日あの男と話したんだ。あ、向こうから話しかけてきたんだ。別にこっちから喧嘩を売った訳じゃないから安心して』
美空は息が止まるほど驚いた。まさか洋介が優斗にまで突っかかるとは思っていなかったのだ。
彼の愚行を謝ろうとすると、優斗はそれを制止した。そして美空に告げたのだ。
『彼の態度はゼスティア・スポーツクラブ本部に報告する。それで何か変わるか分からないけど、客としてみても異常だったから』
きっぱりとそう告げた優斗に、美空は困惑していた。
(確かにお客様にも迷惑よね。気持ちよく利用できないもの)
自分さえけ耐えれば良い。たいしたことではない。そう思っていた。
けれど、話し合う内に自分の考えが麻痺していることに気がついた。
(あんな風にお客様の前で怒鳴られたり、私を庇ってくれた優斗さんまで暴言を吐かれてる)
だから美空は優斗の提案に頷いた。
『よろしくお願いします』
そしてその話をした翌日、美空はジムから『しばらく休暇を取るように』と連絡を受けたのだ。
おそらく優斗のクレームを受けての判断なのだろう。
(電話をしてきたマネージャー、思ったより優しかったな)
洋介と別れてから美空の言動をすべて面倒臭そうに対応していたマネージャーだったが、今日は『これ以上、君に危害が加わるのは良くない。有給休暇と同等の特別休暇だから、何も気にせず十分に休息を取れよ』と言ってきたのだ。
「久しぶりの連休だ。何しよう……」
優斗が仕事に出掛けると、家に一人取り残された気持ちになる。
突然の休みに、美空はただぼんやりとベッドに座っていた。
「そうだ、仕事を探そう」
美空は自室に置きっぱなしになっていたノートPCをつけると、転職サイトを開いた。
「給料が悪いとか若手しか採ってくれないとか、贅沢言ってる場合じゃないもんね」
もう洋介との関係は拗れまくってしまったし、休職後にどのポジションに戻るか分からない。
優斗が本部に報告したからといって、すべてが解決するわけではないのだから。
転職サイトからインストラクターの求人を片っ端から確認していく。
けれどやはり現実は厳しいようで、応募できそうな求人はほとんどなかった。
「やっぱり厳しいよなー。……ん? これ、良いかも」
条件を変えながら検索していると、ある求人が目に留まった。
「オンラインレッスン講師募集……年齢制限もない。給料は時給制だから、お客様がつかないとゼロってことね」
正直たいした稼ぎにはならない。ほとんどの人が副業でやっているようだ。
「それでも無職よりはマシよね」
美空は募集要項を再度確認すると、思いきってエントリーボタンを押した。