似た者同士の契約婚 ~結婚しないと宣言した日に出会った相手は、不眠の心臓外科医でした~
美空は思わず彼女の手にそっと触れる。
「仁美さん……」
「別に本当はあんたが優斗と結婚していたって構わないの。でも……それを認めたら、今度こそ私は本当の役立たずになってしまうから」
「じゃあ、別の方法を考えませんか?」
美空は明るい声でそう言った。
(別に仁美さんを許した訳じゃない……でも)
消え入りそうな声で呟く彼女を、放っておけなかった。
「別の?」
「そうです。仁美さんは、あかつき総合医療センターからの資金提供に不安を感じているんですよね? だったら別の資金調達方法を考えてみたらどうでしょう?」
「はぁ? あんた、さっき大丈夫だって言ったじゃない」
「言いましたけど、資金なんていくらあっても良いじゃないですか」
仁美は呆れたように美空を見つめている。けれど、彼女の瞳からは嫌悪感や敵対心がもう消えていた。
「……それ、どうやるの?」
「それは仁美さんが考えなきゃですよ」
「はあ? ……ふっ、あんたと話してると力抜けるわ」
ようやく仁美の表情が緩む。
険しい雰囲気がなくなった彼女は、少し可愛らしく見えた。
「私は詳しくないですけど、自治体に補助金制度とかあるんじゃないですか?」
「そりゃあ、いくつかあるけど何の実績もないと……リハビリの成果をまとめて、地域密着だって謳ったら、申請くらいはいけるかしら?」
仁美が唸りながら案を絞り出す。
「良いですね! 地域密着なら、健康促進イベントの開催とかどうですか? リハビリに強い病院なら、そういう需要もあると思います。今時の高齢者の方々って健康寿命への意識が高いですし、それにっ……」
美空が案を挙げていると、仁美が噴き出した。
「そうやって急に考え出して暴走するところ、あんたたち似てるわ。……お似合いの夫婦ね」
「えっ?」
「まあいいわ。さっきのイベント云々の話、考えてみる。人を別れさせる方法を考えるより、健全そうだもの」
そうして彼女は立ち上がると颯爽と帰っていった。
その日の夜、寝ようとしていた時に優斗が帰ってきた。
バタバタと物音とともに美空の部屋がノックされる。
「美空? 起きているか?」
「はい……あの、どうかしましたか?」
扉を開けると焦った表情の優斗が美空の両肩をつかんだ。
「今日、仁美がここに来たって」
「あ、ご本人から聞きました? そうなんです。でも、話したら分かってくれたというか……彼女、もう大丈夫だと思います」
美空がへらりと笑うと、優斗は脱力したように「本当、なのか?」と呟いた。
「一体何が……」
困惑する優斗に美空が今日あった事を話すと、彼は目を丸くしていた。
「あいつがそんな話を?」
「えぇ。彼女が優斗さんに不誠実だったことは許せませんが、事情も分からなくもないというか……」
「美空には本当に……敵わないな。あいつも気に入るわけだ」
美空の言葉に優斗は納得したように頷いた。
「え? それはどういう……」
「俺にはもう興味ない。美空が欲しくなったって……さっき仁美からの留守電が入っていたんだ」
「わ、私!?」
「気を付けた方がいい。仁美は気に入った人間に執着するから」
「あー……ははは」
想定外の言葉に、今度は美空が脱力する番だった。
「仁美さん……」
「別に本当はあんたが優斗と結婚していたって構わないの。でも……それを認めたら、今度こそ私は本当の役立たずになってしまうから」
「じゃあ、別の方法を考えませんか?」
美空は明るい声でそう言った。
(別に仁美さんを許した訳じゃない……でも)
消え入りそうな声で呟く彼女を、放っておけなかった。
「別の?」
「そうです。仁美さんは、あかつき総合医療センターからの資金提供に不安を感じているんですよね? だったら別の資金調達方法を考えてみたらどうでしょう?」
「はぁ? あんた、さっき大丈夫だって言ったじゃない」
「言いましたけど、資金なんていくらあっても良いじゃないですか」
仁美は呆れたように美空を見つめている。けれど、彼女の瞳からは嫌悪感や敵対心がもう消えていた。
「……それ、どうやるの?」
「それは仁美さんが考えなきゃですよ」
「はあ? ……ふっ、あんたと話してると力抜けるわ」
ようやく仁美の表情が緩む。
険しい雰囲気がなくなった彼女は、少し可愛らしく見えた。
「私は詳しくないですけど、自治体に補助金制度とかあるんじゃないですか?」
「そりゃあ、いくつかあるけど何の実績もないと……リハビリの成果をまとめて、地域密着だって謳ったら、申請くらいはいけるかしら?」
仁美が唸りながら案を絞り出す。
「良いですね! 地域密着なら、健康促進イベントの開催とかどうですか? リハビリに強い病院なら、そういう需要もあると思います。今時の高齢者の方々って健康寿命への意識が高いですし、それにっ……」
美空が案を挙げていると、仁美が噴き出した。
「そうやって急に考え出して暴走するところ、あんたたち似てるわ。……お似合いの夫婦ね」
「えっ?」
「まあいいわ。さっきのイベント云々の話、考えてみる。人を別れさせる方法を考えるより、健全そうだもの」
そうして彼女は立ち上がると颯爽と帰っていった。
その日の夜、寝ようとしていた時に優斗が帰ってきた。
バタバタと物音とともに美空の部屋がノックされる。
「美空? 起きているか?」
「はい……あの、どうかしましたか?」
扉を開けると焦った表情の優斗が美空の両肩をつかんだ。
「今日、仁美がここに来たって」
「あ、ご本人から聞きました? そうなんです。でも、話したら分かってくれたというか……彼女、もう大丈夫だと思います」
美空がへらりと笑うと、優斗は脱力したように「本当、なのか?」と呟いた。
「一体何が……」
困惑する優斗に美空が今日あった事を話すと、彼は目を丸くしていた。
「あいつがそんな話を?」
「えぇ。彼女が優斗さんに不誠実だったことは許せませんが、事情も分からなくもないというか……」
「美空には本当に……敵わないな。あいつも気に入るわけだ」
美空の言葉に優斗は納得したように頷いた。
「え? それはどういう……」
「俺にはもう興味ない。美空が欲しくなったって……さっき仁美からの留守電が入っていたんだ」
「わ、私!?」
「気を付けた方がいい。仁美は気に入った人間に執着するから」
「あー……ははは」
想定外の言葉に、今度は美空が脱力する番だった。