あなたに触れたい
返事を返してから数時間後。
私は聖美に「今日は遅く出たから残業していく」と言って先に帰ってもらった。
最後のひとりが「お疲れさま」と出て行くと、途端に静かになるオフィス内。
今は私と結城さんの2人きり。
彼が仕事をしている気配はするが見れない。
しばらくするとぎしっと椅子がきしむ音がした。
来るーー
私は結城さんが近づいてくる気配を感じ、顔をそちらに向ける。
目が合うといつものように優しく微笑まれた。
「残業、お疲れ様です」
そう言うと、結城さんは聖美の席の椅子を引いてこしかけ、こちらを向いた。
私も椅子を回転させて向かい合う。
私はもう1度、オフィス内に人がいないことを確認すると、「あの……」と切り出した。
「昨日はご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「いや、こちらこそ、飲ませすぎました。申し訳ない。あまりにも美味しそうに飲んでいるから色んなお酒を勧めすぎましたよ」
「お酒は美味しかったです」
すると結城さんは机に肩肘をついた。
いつもの丁寧な所作とは違い男らしさを感じてドキッとする。
そしてつい、彼の腕まくりしているシャツから伸びている腕をちらっと見てしまう。
残念ながらこちらから例のものは見えなかった。
「それで? どこまで覚えているんですか?」
「バーでお酒を飲んでいたのは覚えています」
「じゃあホテルに入ってからは全く?」
「はい……すみません」
すると結城さんは少し意味深にため息をついた。
「そうか、あんなに盛り上がった夜を覚えていないんですね」
「ええ!?」
私は心臓が口から飛び出しそうになるほど驚いた。
「わ、私たち、そんな!」
すると結城さんは顔を下に向けて小刻みに震え出す。
「ゆ、結城さん?」
すると声をあげて笑った。
私は文字通り目が点になる。
「ごめん、ごめん。大丈夫。何もありませんでしたよ」
「は?」
思わず非難の声がでた。
結城さんはまだ笑っている。
「眠ってしまった森田さんを起こそうとしたが全く起きなくてですね。住所もわからず、仕方なくホテルに連れ込んだんです」
結城さんは片手をあげた。
「でも誓って言います。俺は何もしていないし、あなたを残して夜のうちに帰りましたよ」
今度は急に申し訳なくなってきた。
「それは申し訳ございません。上司にこんな迷惑をかけて、私、なんてお詫びしてよいやら。あ、そうだ」
私は鞄を膝の上に載せて財布を出す。
「せめてホテル代と朝のルームサービス代は支払わせてください」
「いいですよ、そんなの。いりません」
「ダメです!」
私はとりあえず先程、調べたホテルの金額分のお札をつまみ出した。
「本当にいらないです。飲ませてしまったお詫びなので」
「でも……」
「だったら1つ僕の質問に答えてくれますか?」
「質問?」
「ええ、もし僕に申し訳ないと思っているのなた、それに答えてください」
「わかりました」
私は聖美に「今日は遅く出たから残業していく」と言って先に帰ってもらった。
最後のひとりが「お疲れさま」と出て行くと、途端に静かになるオフィス内。
今は私と結城さんの2人きり。
彼が仕事をしている気配はするが見れない。
しばらくするとぎしっと椅子がきしむ音がした。
来るーー
私は結城さんが近づいてくる気配を感じ、顔をそちらに向ける。
目が合うといつものように優しく微笑まれた。
「残業、お疲れ様です」
そう言うと、結城さんは聖美の席の椅子を引いてこしかけ、こちらを向いた。
私も椅子を回転させて向かい合う。
私はもう1度、オフィス内に人がいないことを確認すると、「あの……」と切り出した。
「昨日はご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「いや、こちらこそ、飲ませすぎました。申し訳ない。あまりにも美味しそうに飲んでいるから色んなお酒を勧めすぎましたよ」
「お酒は美味しかったです」
すると結城さんは机に肩肘をついた。
いつもの丁寧な所作とは違い男らしさを感じてドキッとする。
そしてつい、彼の腕まくりしているシャツから伸びている腕をちらっと見てしまう。
残念ながらこちらから例のものは見えなかった。
「それで? どこまで覚えているんですか?」
「バーでお酒を飲んでいたのは覚えています」
「じゃあホテルに入ってからは全く?」
「はい……すみません」
すると結城さんは少し意味深にため息をついた。
「そうか、あんなに盛り上がった夜を覚えていないんですね」
「ええ!?」
私は心臓が口から飛び出しそうになるほど驚いた。
「わ、私たち、そんな!」
すると結城さんは顔を下に向けて小刻みに震え出す。
「ゆ、結城さん?」
すると声をあげて笑った。
私は文字通り目が点になる。
「ごめん、ごめん。大丈夫。何もありませんでしたよ」
「は?」
思わず非難の声がでた。
結城さんはまだ笑っている。
「眠ってしまった森田さんを起こそうとしたが全く起きなくてですね。住所もわからず、仕方なくホテルに連れ込んだんです」
結城さんは片手をあげた。
「でも誓って言います。俺は何もしていないし、あなたを残して夜のうちに帰りましたよ」
今度は急に申し訳なくなってきた。
「それは申し訳ございません。上司にこんな迷惑をかけて、私、なんてお詫びしてよいやら。あ、そうだ」
私は鞄を膝の上に載せて財布を出す。
「せめてホテル代と朝のルームサービス代は支払わせてください」
「いいですよ、そんなの。いりません」
「ダメです!」
私はとりあえず先程、調べたホテルの金額分のお札をつまみ出した。
「本当にいらないです。飲ませてしまったお詫びなので」
「でも……」
「だったら1つ僕の質問に答えてくれますか?」
「質問?」
「ええ、もし僕に申し訳ないと思っているのなた、それに答えてください」
「わかりました」