御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「えっと、その……もう大丈夫です」

 小夜莉は慌てて取り繕うと、心配そうな顔を覗かせる雅人に促されるままベッドに腰かけた。
 雅人と隣どおしで座る。洋服が触れるか触れないかの距離感に、心はドキドキと駆け足で鳴っていた。しばらく黙ったまま静かな時間が流れていたが、ようやく落ち着きを取り戻した小夜莉は、姿勢を正すと雅人に向き直る。

「昨日は本当にごめんなさい。残業するときは連絡するようにって、言われてたのに……」

 小夜莉は静かに頭を下げる。
 もし小夜莉が雅人に連絡を入れていたら、所長たちが乗り込んでくることもなかったかも知れない。あそこまでの騒動にならずに解決できたのかも知れないと思った。
 すると落ち込む小夜莉に、雅人が優しい顔を覗き込ませる。

「俺の方こそ悪かったと思ってる。小夜莉にあんなに怖い思いをさせて。GPSのことは、小夜莉から媚薬の瓶を渡された日に気がついてたんだ」
「そうだったんですか?」

 小夜莉は驚いて顔を上げる。

「あぁ、でもまさかその次の日に、彼らが行動を起こすとは思わなかった」

 雅人が悔しそうに拳を握りしめる。小夜莉は「違うんです!」と大きく首を振った。

「私が所長のパソコンを開いたからなんです。所長は私のこと、雅人さんの指示で調査しているスパイのように思って監視していた。だからこそ、私の怪しい動きを見て乗り込んできたんです。でもまさか、所長とNKRがつながっていて、あんな悪事を働いていたなんて思
わなかった……」

 小夜莉は深くため息をつくと下を向く。
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