御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
「以前からNKRの動きには目をつけていたんだ。見合いの話も裏があると思っていた」
「そうだったんですね」
「小夜莉には怖い思いをさせたが、でも今回この件を解決できたのは、小夜莉のおかげだ。本当にありがとう」

 静かに頭を下げる雅人に、小夜莉は大きく首を横に振る。

「これからどうなるんですか?」
「所長たちは逮捕された。今後の捜査にもよると思うが、どうもNKRは余罪があるらしい。きっと会社の立て直しは不可能だろうな」
「そうですか……」

 小夜莉は苦し気に息をつく。あれだけの大企業であっても一瞬で傾いてしまう。ひととして、企業として、やってはいけないことに手を染めた代償は大きい。
 するとしばらくして、雅人がそっと顔を覗き込ませた。

「その、小夜莉の身体は大丈夫か? どこか痛むところはないか? 左腕とか……」
「え?」

 雅人に言われて初めて小夜莉は自分の腕を見る。すると左腕が赤紫色に腫れあがっていた。
 確かに鈍い痛みは感じていたが、まさかこんなに変色しているとは思いもよらなかった。強い力で掴まれていたが、小夜莉も振りほどこうと必死だったから、こんなになってしまったのだろう。

「さっきより酷くなってるじゃないか!」

 すると雅人が驚いたような声を上げ、小夜莉の腕に手を伸ばす。でも、はっとした様子で動きを止めると、雅人の手は宙で止まった。そして何かを思い出したように顔を上げる。
< 109 / 135 >

この作品をシェア

pagetop