御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
* * *
「ちょっとわざとらしかったかしら?」
小夜莉の母親はそう言うと、小夜莉によく似た笑い方でほほ笑む。
雅人はそんな母親に、きっと話があるのだろうと顔を向けた。すると母親が改まったように深く頭を下げる。
「雅人さん、本当にありがとうございました。あんなに幸せそうな小夜莉の顔を見られるなんて思ってもみなかったわ」
母親の声は次第に上ずってくる。雅人は「お母さん」といたわるように声を出した。
「私ね、食事会の後、覚悟していたんです」
「覚悟?」
「きっと小夜莉から、雅人さんとは別れたって報告があると思って」
くすりと笑う母親に、雅人は驚いたように目を丸くする。
「お母さんは気がついてたんですか?」
その声に母親はにっこりとほほ笑んだ。
「もちろん。何年小夜莉の母親をしてると思ってるの?」
おどけたように声を出し、雅人は母親と顔を見合わせてくくっと肩を揺らした。
「小夜莉は優しい子なんです。いつも私のことを気づかってくれる。だからね、あの日も私を喜ばすために、無理に雅人さんに婚約者役を頼んだんだろうと思いました。だから結婚式の知らせをもらったときは本当に驚いたわ。小夜莉の男性恐怖症が治っていないのはわかっていたから」
「じゃあ、どうして何も言わなかったんですか?」
雅人の問いに、母親は瞳を潤ませながら顔を上げる。
「食事会の時、雅人さんが言ってくれたでしょう? 小夜莉は尊敬できる女性だって」
「はい」
「あの言葉に偽りはないって思ったの。だからいつかふたりが本物の夫婦になれるよう、私はふたりを見守ろうと決めたの」
母親の言葉に雅人の胸が熱くなる。なんて温かい親の心なのだろうと思った。
「そして今日小夜莉の顔を見て、あぁふたりは本物の夫婦になれたんだってわかったわ」
「お母さん……」
「雅人さん、どうぞ小夜莉のこと、末永くよろしくお願いします」
静かに頭を下げる母親を見つめ、雅人はこみ上げる気持ちを感じながら「はい」と深くうなずいた。
「ちょっとわざとらしかったかしら?」
小夜莉の母親はそう言うと、小夜莉によく似た笑い方でほほ笑む。
雅人はそんな母親に、きっと話があるのだろうと顔を向けた。すると母親が改まったように深く頭を下げる。
「雅人さん、本当にありがとうございました。あんなに幸せそうな小夜莉の顔を見られるなんて思ってもみなかったわ」
母親の声は次第に上ずってくる。雅人は「お母さん」といたわるように声を出した。
「私ね、食事会の後、覚悟していたんです」
「覚悟?」
「きっと小夜莉から、雅人さんとは別れたって報告があると思って」
くすりと笑う母親に、雅人は驚いたように目を丸くする。
「お母さんは気がついてたんですか?」
その声に母親はにっこりとほほ笑んだ。
「もちろん。何年小夜莉の母親をしてると思ってるの?」
おどけたように声を出し、雅人は母親と顔を見合わせてくくっと肩を揺らした。
「小夜莉は優しい子なんです。いつも私のことを気づかってくれる。だからね、あの日も私を喜ばすために、無理に雅人さんに婚約者役を頼んだんだろうと思いました。だから結婚式の知らせをもらったときは本当に驚いたわ。小夜莉の男性恐怖症が治っていないのはわかっていたから」
「じゃあ、どうして何も言わなかったんですか?」
雅人の問いに、母親は瞳を潤ませながら顔を上げる。
「食事会の時、雅人さんが言ってくれたでしょう? 小夜莉は尊敬できる女性だって」
「はい」
「あの言葉に偽りはないって思ったの。だからいつかふたりが本物の夫婦になれるよう、私はふたりを見守ろうと決めたの」
母親の言葉に雅人の胸が熱くなる。なんて温かい親の心なのだろうと思った。
「そして今日小夜莉の顔を見て、あぁふたりは本物の夫婦になれたんだってわかったわ」
「お母さん……」
「雅人さん、どうぞ小夜莉のこと、末永くよろしくお願いします」
静かに頭を下げる母親を見つめ、雅人はこみ上げる気持ちを感じながら「はい」と深くうなずいた。